家族信託と成年後見制度の違い

成年後見制度とその限界

成年後見制度の目的は、正常な判断能力を失った被後見人の代わりに、後見人が、被後見人の財産を守る(減らさない)よう、強い権限で管理することです。従って、本人や周囲の希望とは関係なく、「本人にとって最低限必要な支出」しか認められなくなります。

一方で、被後見人の身上監護(介護や医療に関わる施設入所など)については成年後見制度を利用するしか方法はありません。

つまり、本人にとって本当に意味のある、合理的な理由のある支出しか認められず、推定相続人や、家族にメリットのあるような行為、例えば、将来の相続を見越して生前贈与や財産を整理・処分することは、基本的に認められません。

成年後見制度を利用している限りにおいては、柔軟な財産の管理は難しく、家族のための支出や、将来の相続対策を考えたくてもほぼ何も出来ません。また、たとえ本人のためであったとしても、積極的な投資や運用なども実行できません。

以上のことから、家族信託と成年後見制度とをうまく組み合わせて、双方の利点を活かす設計が必要となります。

成年後見制度の利点と課題

利点

成年後見関係の申立ての動機は、1位が預貯金の管理・解約となっています(裁判所「成年後見関係事件の概況ー平成26年1月~12月)。本人確認が必要な預貯金口座からのお金の引き出しには、成年後見制度を使わざるを得ません。同様に、不動産の処分等の手続きをするという申立ての動機もあります。最近では、相続手続き上、例えば父親が亡くなり、相続人である母親が認知症というケースにおいて、遺産分割や放棄などの法的なことが一切できなくなることから、成年後見制度を使うこともあります。

※最高裁判所HP司法統計資料(全家庭裁判所)を基に作成

課題

 成年後見制度を利用する人の人数は、平成26年12月現在、18万5,000人前後といわれています(上記裁判所資料)。認知症及びその予備軍は全国で860万人以上とされている実態から比べれば、この数字は少ないといえます。

利用する人が少ない理由として、後述の手続きや管理の問題と合わせ、そもそも成年後見制度を使う必要がないということが挙げられます。

支えるべき家族が近くにいれば、預貯金等の財産管理や不動産、賃貸物件の管理、さらには入院入所手続きなども含めて、家族としてある程度現実的な対応は可能ですので、必ずしも成年後見制度の利用が必要とはいえません。

 

そしてもう1つは、成年後見制度を利用する際の負担が大きくて、できれば使いたくないという人が多いことが挙げられます。成年後見制度を使うと、後見人は年1回、裁判所への財産の状況や1年間の収支、財産目録等を作成し報告する義務があります。

また、成年後見制度を使ってしまうと、できることが限られてしまいます。例えば、親元に年に一度家族が集まるような場面で、例年どおり親が全員の食事代を払っていたものが、成年後見制度を利用すると会食代は割り勘で参加者の個人負担となります。

成年後見制度は、「対象者の財産を減損させない」ことが目的ですので、「家族や本人の想い、希望」に必ずしも応えられる制度ではないことが、制度利用を躊躇させる理由といえます。

法定後見制度と任意後見制度、そして家族信託

 

法定後見制度は、後見を受ける人が認知症など「判断能力を失った状態」となった段階で、通常、家族が裁判所に申請することで審判を経て開始されます。この際の後見人は裁判所が適切と判断した者が指名を受け就任することになります。家族が候補者となることも可能ですが、最終的な判断は裁判所に委ねられます。

これに対し、「任意後見制度」という制度があります。この制度は、本人が元気なうちに後見開始時(判断能力を喪失した段階)に、誰を後見人にするかをあらかじめ決めておく制度です。ここでは後見人に家族を指名するなど自由度がある一方で、後見人が正しく後見できているかどうかを監視する「監督人」を置くことが義務付けられています。

もし、任意後見によって指名された後見人が、適切な後見活動ができないと裁判所が判断した場合は、後見人は解任され、裁判所が指名する後見人に交代することになります。

法定後見も任意後見も、実際の財産の管理を行うのは、「後見開始」が審判された後からとなりますので、後見開始前における契約行為を後見人が行うことはできません。

さらに任意後見制度の活用であっても法定後見制度と同様、あくまでも後見を受ける側にとってのメリットになるか否かが、後見行為の最大の基準となります。

これに対し、家族信託には成年後見制度のような制約が一切ないため、本人が元気なうちに財産管理について希望をしっかりと託しておくことで、受託者がその希望に沿った柔軟な財産管理を実行することができるという点で、大きく異なります。

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