共有不動産のトラブル回避
共有名義で1つの不動産を持っている場合、共有名義人(上記の例では4人の兄弟)のうち1人でも認知症を発症するなどして意思判断能力が失われると、その不動産の処分はすぐにはできなくなります。加えて相続が発生してしまうと、共有名義はさらにその相続人の数だけ増えていきますので、もはや「動かすことが非常に困難な物件」となってしまいます。
家族信託を利用すると・・・
兄弟4人が健常なうちに、兄弟4人を委託者兼受益者とし、例えば長女の息子と長男の長女2名を受託者とした信託契約を結びます。
こうすることで、
- 将来、共有者の誰か1人が意思能力や判断能力を失ってしまう事態が発生しても、このアパートの管理や売却は受託者の権限で行うことができます。
- 仮に今すぐアパートの売却を検討するとして、80歳代の兄弟が売却等の条件交渉や判断を行うのが困難な場合であっても、受託者が兄弟4人に代わり交渉等の権限を持つことができます。
- もし長女に相続が発生した場合でも、長女が持つ「受益権」を長女の子が相続しますので、通常の相続と何ら変わるものではありません。そして、引き続きアパート全体の売却を含めた処分の権限を受託者(長女の子と長男の子)が行使することができます。
- たとえ売却せずに、兄弟一族共有の財産として所有し続ける場合でも、大規模修繕や建替え等の契約権限を受託者に集中させることができますので、共有者全員の承諾と協力を得る必要がなくなります(賃料収入などは従来どおり兄弟4人のものです)。
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